最高裁判所第一小法廷 昭和34年(オ)844号 判決 1961年10月05日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人岩沢誠、同藤井正章の上告理由第一点について。
しかし、判決確定前に民訴四二〇条一項五号前段所定の刑事上罰すべき他人の行為による自白が効力がない旨の主張をするには、同条二項の要件を具備する必要がないものと解するを相当とするから、原判決には所論の違法はない。
同第二点について。
しかし、原判決は、その理由の冒頭において前控訴審証人東一郎の判示証言部分は、判示各証拠と対照すると措信できず、他に本件手形が控訴人(被上告人、被告)によつて正当に振出されたものと認めるに足りる証拠がない旨説示しているから、原判決には所論の判断遺脱はない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)